2.ごめん / 君に謝りたかったこと
Side D
俺はよく、ため息をつかれながら、鈍感だとか、分かっていないだとか言われる。
それを聞くと首を傾げる俺に、相手はまたため息をついて、「そういうところ」というのだけど、やっぱり俺には分からない。
「おい、ドンへ、」
楽屋から出て、たまたまそこにいた可愛い可愛い後輩と立ち話に花を咲かせていると、
俺が一緒に帰ろうと思っていた張本人、ヒョクチェが俺を睨みつけながら声を掛けた。
ずかずかと此方に近づいてくるヒョクチェに、手を振って笑いかけると、ヒョクチェはさらにすごい血相で
俺を睨みつけてきた。
何事かと思って首を傾げると、隣にいた後輩がにっこりと笑って、
「ヒョクチェオッパ、お疲れ様です」なんて言うから、俺は思わず頬を緩めた。
「お疲れ、ソルリ」
「オッパ、今日もかっこよかったですよー」
「ははっ!ちょっと棒読みすぎ」
「あ、ばれちゃいました?」
てへ、なんて可愛く笑う彼女。やっぱり可愛いなぁ。でも、なんで俺じゃなくてヒョクチェとばっかり楽しそうに話すんだろう。
俺の方が絶対女の子に人気あると思うのになぁ。
あ、もしかして、それって、そういうことになるんじゃ…
「ね、ちょっと」
楽しそうにヒョクチェとの会話を続ける彼女の腕を軽く引っ張って、ヒョクチェに聞こえないように、顔を耳元に近づける。
「もしかして、ソルリってヒョクチェのこと好きなの?」
「はあ?」
なんかこれは面白い展開になるかも、なんてワクワクして聞いてみると、
案の定可愛い彼女からは想像できないような声が返ってくる。
彼女は呆れたようにため息をついて、またヒョクチェとの世間話に夢中になってしまった。
あれ?違ったんだ。これってまた、俺、分かってないって言われる場面っぽい。
あ、それともただ俺のこと苦手なのか?なんだなんだ、じゃああんな返事が返ってくるわけだ。
一人で納得をしていると、不意に遠くから彼女を呼ぶこれまた愛らしい声が聞こえた。
「ソルリー!先に帰っちゃうよー?」
「あ、ルナオンニ!ちょっと待ってて!!」
彼女はぺこりと俺たちに軽く頭を下げて、「ヒョクチェオッパ、またね!」なんてまたまた可愛く笑って走って行った。
うん、やっぱり俺には言わないんだなぁ。こりゃ完全に嫌われてるかも。
あ、そう言えば、俺スヨンにも愛想良くされないんだよな。もしかして、俺女の子に嫌われる体質なのかも。
「おい、ドンへ」
「へっ?」
これから彼女たちに会う時どうしよう、変に気を使っちゃうなぁ、なんて事を考えていると、突然にヒョクチェに腕を引っ張られる。
勢いよく出口へ向かうから、早く帰るぞってことなんだろうか。
「ちょっとヒョクー腕痛いよー」
「…」
「おーい、ヒョクチェー?」
「………煩い黙れ。」
急に低くなった声のヒョクチェに威嚇されて、
俺はおとなしく口を紡ぐ。
何かしたっけ?となるべくクリアな記憶を辿ってみるけど、
俺の空っぽに近い頭からは何も出てこない。
「……ヒョク…?」
つかまれた腕から、ほのかに震えているヒョクチェの手の振動が伝わる。
やっぱり絶対なんかしちゃった、不安になって弱弱しく問いかけると、ヒョクチェはピタリと立ち止まった。
何かをこらえているかのような小さな背中をじっと見つめていると、
今にも消えてしまいそうなヒョクチェの声が、
ふわふわと力なく浮かんだ。
「…お前って、ホント酷い奴だよな」
「え…」
ヒョクチェはそれだけ言い放つと、俺を置いて歩き始めてしまう。
追いかけないと。あ、その前に何か言わないと。
こういう時はなんて言えばいいんだっけ。ああ、本当に俺って分かってないヤツ。
ごめん、そう言えばよかったなんて、分からなかった。
Side D
俺はよく、ため息をつかれながら、鈍感だとか、分かっていないだとか言われる。
それを聞くと首を傾げる俺に、相手はまたため息をついて、「そういうところ」というのだけど、やっぱり俺には分からない。
「おい、ドンへ、」
楽屋から出て、たまたまそこにいた可愛い可愛い後輩と立ち話に花を咲かせていると、
俺が一緒に帰ろうと思っていた張本人、ヒョクチェが俺を睨みつけながら声を掛けた。
ずかずかと此方に近づいてくるヒョクチェに、手を振って笑いかけると、ヒョクチェはさらにすごい血相で
俺を睨みつけてきた。
何事かと思って首を傾げると、隣にいた後輩がにっこりと笑って、
「ヒョクチェオッパ、お疲れ様です」なんて言うから、俺は思わず頬を緩めた。
「お疲れ、ソルリ」
「オッパ、今日もかっこよかったですよー」
「ははっ!ちょっと棒読みすぎ」
「あ、ばれちゃいました?」
てへ、なんて可愛く笑う彼女。やっぱり可愛いなぁ。でも、なんで俺じゃなくてヒョクチェとばっかり楽しそうに話すんだろう。
俺の方が絶対女の子に人気あると思うのになぁ。
あ、もしかして、それって、そういうことになるんじゃ…
「ね、ちょっと」
楽しそうにヒョクチェとの会話を続ける彼女の腕を軽く引っ張って、ヒョクチェに聞こえないように、顔を耳元に近づける。
「もしかして、ソルリってヒョクチェのこと好きなの?」
「はあ?」
なんかこれは面白い展開になるかも、なんてワクワクして聞いてみると、
案の定可愛い彼女からは想像できないような声が返ってくる。
彼女は呆れたようにため息をついて、またヒョクチェとの世間話に夢中になってしまった。
あれ?違ったんだ。これってまた、俺、分かってないって言われる場面っぽい。
あ、それともただ俺のこと苦手なのか?なんだなんだ、じゃああんな返事が返ってくるわけだ。
一人で納得をしていると、不意に遠くから彼女を呼ぶこれまた愛らしい声が聞こえた。
「ソルリー!先に帰っちゃうよー?」
「あ、ルナオンニ!ちょっと待ってて!!」
彼女はぺこりと俺たちに軽く頭を下げて、「ヒョクチェオッパ、またね!」なんてまたまた可愛く笑って走って行った。
うん、やっぱり俺には言わないんだなぁ。こりゃ完全に嫌われてるかも。
あ、そう言えば、俺スヨンにも愛想良くされないんだよな。もしかして、俺女の子に嫌われる体質なのかも。
「おい、ドンへ」
「へっ?」
これから彼女たちに会う時どうしよう、変に気を使っちゃうなぁ、なんて事を考えていると、突然にヒョクチェに腕を引っ張られる。
勢いよく出口へ向かうから、早く帰るぞってことなんだろうか。
「ちょっとヒョクー腕痛いよー」
「…」
「おーい、ヒョクチェー?」
「………煩い黙れ。」
急に低くなった声のヒョクチェに威嚇されて、
俺はおとなしく口を紡ぐ。
何かしたっけ?となるべくクリアな記憶を辿ってみるけど、
俺の空っぽに近い頭からは何も出てこない。
「……ヒョク…?」
つかまれた腕から、ほのかに震えているヒョクチェの手の振動が伝わる。
やっぱり絶対なんかしちゃった、不安になって弱弱しく問いかけると、ヒョクチェはピタリと立ち止まった。
何かをこらえているかのような小さな背中をじっと見つめていると、
今にも消えてしまいそうなヒョクチェの声が、
ふわふわと力なく浮かんだ。
「…お前って、ホント酷い奴だよな」
「え…」
ヒョクチェはそれだけ言い放つと、俺を置いて歩き始めてしまう。
追いかけないと。あ、その前に何か言わないと。
こういう時はなんて言えばいいんだっけ。ああ、本当に俺って分かってないヤツ。
ごめん、そう言えばよかったなんて、分からなかった。
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